石灰・堆肥・肥料について

1.石灰

雨が降ると土の中の石灰(カルシウム)や苦土(マグネシウム)が流出するため、土が酸性に傾きがちになります。そのままの状態で野菜を育てると根を痛めたり、根の働きや養分の吸収が阻害されたりし、生育に悪影響を及ぼします。栽培前には石灰をまいて、土のPHバランスを整えます。土がよければいい花が咲き、実つきも良くなります。また石灰は、カルシウムを補う肥料になったり、植物が病気になった時にも効果があるとされています。

<消石灰>

アルカリ分の含有量…60%以上(強アルカリ性)

反応の速さ…速い

水酸化カルシウムとも呼ばれていて、石灰石を粉砕して重質炭酸カルシウムになり、それを焼成して生石灰・酸化カルシウムとなり、水を加えて消化熟成の処理をしたものが消石灰水酸化カルシウムと呼びます。(ちなみに、石灰岩は元は太古の貝や生物の骨など。)消石灰はどんな水にも溶ける水性なので、混ぜれば混ぜるだけどんどんとアルカリ性に近づくので即効性があります。

下水の脱臭・消毒や、ごみ処理場での毒物除去、家畜場での伝染病予防の為の消毒など実は様々な場所で使われている消石灰。消石灰は目に入ったり皮膚につくと炎症を引き起こす危険があるため、粒状の物がおすすめです。

 

<苦土石灰>

アルカリ分の含有量…50%以上(アルカリ性)

反応の速さ…少しゆっくり

苦土石灰はドロマイトという鉱物を砕いて加工したもので、石灰石を元にした消石灰とは原料から違います。苦土石灰には炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムが含まれていて、消石灰と同じように酸性に偏った土壌を改良するために使われますが、同時に植物の光合成に重要な働きをするマグネシウムを補充することもできます。苦土石灰は難水性なので、ゆっくりと土に溶けていきじわじわと土を酸性から弱アルカリ性に近づけていきます。(水に溶けにくい成分のため追肥には向かないので、植え付け前に使う。)

苦土石灰も目に入ったり皮膚につくと炎症を引き起こすことがあるので、粒状がおすすめです。

◎土づくりのとき、苦土石灰をまいてから1週間位おいて堆肥や肥料をまきます。なぜ別々にまくのかというと、石灰とチッソが混ざり合い反応するとアンモニアガスを発生させてしまう可能性があるからです。その点だけ気を付ければ同時に使用することもできます。

2.堆肥

土に栄養を与えるとされる堆肥とは、牛糞や落ち葉などの有機物を分解(発酵)させたものです。土をふかふかにして、適度な水はけと通気性を保つための土壌改良として使います。主な動物性堆肥には牛糞堆肥や鶏糞堆肥、植物性堆肥には腐葉土やバーク堆肥などがあります。未熟な堆肥は悪臭や病害虫が発生したり、根を痛めたりする原因になるので、完熟の物を使うようにします。

<牛糞堆肥>

牛糞をワラなどと混ぜて発酵・腐熟させたもので、肥料成分が豊富に含まれています。さらさらとした無臭の完熟した製品がよい。

<腐葉土>

広葉樹の落ち葉を堆積させ、微生物によって腐熟させた植物性堆肥で、肥料分や水分を蓄える力が大きい。葉の形があまり残っていない製品がよい。未熟な場合は袋に入れたまま放置し、においが抜けてから使う。バーク堆肥と腐葉土は土壌改良としては同じような効果がありますが、腐葉土はチッ素成分が多くなっているのが特徴です。肥料成分は少ない。

<バーク堆肥>

樹木の皮(=バーク)を粉砕し、発酵させたものです。一度乾燥させてしまうと吸収力が落ちるので、乾燥させずに湿った状態のまま使います。未熟なものは袋に入れたまま放置し、発酵させてから使います。肥料成分が少ないので、土にバーク堆肥を混ぜることで、土の力によって植物が元気よく育ってくれる効果を期待します。チッ素成分が多くなっている腐葉土に対して、バーク堆肥は炭素の成分が多く含まれているのが特徴です。

一般的に窒素の多い土壌では、植物の葉っぱが成長しやすくなりますが、花や実を成長しやすくするには土壌に炭素も程よく含まれている必要があります。

3.肥料

植物の成長に欠かせない肥料には、天然鉱石などの無機物を原料とする化学肥料と、有機質由来の有機質肥料があります。また、植物の成長に最も必要なチッ素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の三要素のうち1つの成分だけを含む単肥・2種類以上を組み合わせた複合肥料など様々な種類があります。三要素が同じ割合で含まれている化学肥料が使いやすいとされていますが、家庭菜園ではより安全な野菜作りを目指して有機質肥料を使ってみてはどうでしょうか。肥料は土づくりの際にまく元肥(もとごえ)と生育途中に与える追肥(ついひ)に分けて使います。1度にたくさん与えず、何回かに分けて与えます。

チッ素(N)

葉肥(はごえ)
タンパク質を作り、葉っぱや茎のもととなる葉緑素となり、葉や茎の成長を促す。
欠貧すると⇨葉が小さくなったり、葉色が薄くなる
過剰だと⇨葉や茎ばかりが大きく茂りすぎて、実付きが悪くなる

リン酸(P)

実肥(みごえ)
細胞質の成分となり、花や果実の生長を促す。
欠貧すると⇨花数が少なくなり、開花や実付きが悪くなる。
過剰だと⇨過剰施肥による被害は出にくいが、鉄欠乏の原因となって、果実などの成長が遅れる場合がある

カリ(K)

根肥(ねごえ)
根や茎を丈夫にし、球根を太らせる。同時に新陳代謝を活発にしたり、生理作用を調節するなど調節役としても重要な役割を果たす。
欠貧すると⇨抵抗力がなくなり、病害虫の被害を受けやすくなる
過剰だと⇨光合成を助けるマグネシウム(苦土)の吸収を妨げ、苦土欠乏症の原因になり、生育が悪くなる

<有機質肥料>

土中で分解されてからでないと効果が発揮されないため、効き目がゆっくりと持続し、土壌改良効果も期待できる。肥料によって成分が異なるため、複数の肥料を組み合わせて使う必要がある。

  • 発酵鶏糞

ニワトリの糞を十分に発酵させたもので、チッ素とリン酸が多く含まれていて、動物性の有機質肥料です。完熟に発酵した製品は追肥に使うこともできる。チッ素を多く与えすぎると葉や茎ばかりが大きくなり、実付きが悪くなる。また、チッ素分が多いとアブラムシが発生しやすくなる。※乾燥鶏糞は未発酵のため投入後すぐに栽培を始めると根を痛める原因となる。

  • 骨粉

家畜の骨を焼成・粉砕したもので、リン酸分が主体な動物性の有機質肥料です。

  • バットグアノ

堆積したコウモリのふんが原料の、動物性の有機質肥料です。堆積場所などによってチッ素系とリン酸系に分かれるが、珍重されるのはリン酸系。成分含有量が非常に多く、長くゆっくり効く。

  • 油かす

ナタネ・ダイズ・ワタの実などの植物から油を搾ったカスが原料の、植物性の有機質肥料です。チッ素分が主体で、多く流通するナタネ油かすはリン酸も少し含む。未発酵なので、投入後は2~3週間くらいおいた方がいい。

  • 草木灰:そうもくばい

草や木を燃やして作った肥料で、リン酸とカリが多く、カルシウム(石灰分)も含む、植物性の有機質肥料です。即効性があり、石灰分が多いので、土壌酸度を調節する。

  • ぼかし肥

鶏糞・油かす・米ぬか・もみ殻などの有機質肥料を混ぜて発酵させたもの。

<化学肥料>

効果が表れるのが速く、含まれている成分の量や比率などが安定している。しかし、単独で使い続けると、土が固く締まってしまう。堆肥や腐葉土などの有機質の資材を一緒に使うことが大切。

  • 熔リン

リン酸分のみを含む単肥で、化学肥料です。追肥で与えても根から吸収されにくいので、必ず元肥として与える。

  • 配合肥料

三要素のうち、2種類以上の肥料分を単に混ぜ合わせた化学肥料。有機物を主体とした有機配合肥料などがあり、製品によって含まれる肥料分や成分量が異なる。

 

 

 

以上、土づくりに必要な石灰・堆肥・肥料についてでした。最近では肥料を一切使わない無肥料栽培や、土を使わないで水と液体肥料だけで育てる水耕栽培などもあります。無肥料栽培は少し気になっているところです。土の持つ力を最大限に発揮させるという、素晴らしい考えだと思います。ただ、作物にあった土壌でないと難しそうです。いろいろな方法を知ったうえで、自分にあった野菜作りを見つけられたらいいですね。

無農薬で美味しい野菜作り